サッカーでも野球でも、同じ動作を繰り返すことで、正確性や再現性を高めることが出来ます。
「練習で出来ないことは試合でも出来ない」と言われるのは、動作の再現性を高めるために反復練習を繰り返すべきという意図の言葉です。
しかし、幼児や小学校低学年の段階で同じ動作を繰り返す反復練習ばかりしていると、その動作のみに特化してしまい応用の利かないバランスの悪い体になってしまう恐れがあります。
そこで、大切になるのがコーディネーショントレーニングです。
コーディネーショントレーニングを簡単に説明すると、「自分の身体を思い通りに動かすためのトレーニング」です。
本記事はコーディネーショントレーニングの概要と、2~3歳頃の遊びに取り入れられる具体的なトレーニングメニューを紹介したいと思います。
子供の成長には段階がある
子供は成長するにつれ、段階的に色々な能力が伸びていきます。
スキャモンの発育曲線と呼ばれるもので、個人差はありますが以下のような発育曲線の傾向があります。
https://sgs.liranet.jp/sgs-blog/4214 より 画像引用
本記事では、大きく以下の3つに分けて説明します。
神経系(スキャモン神経型に関する)
自分の身体がどういう状況なのか把握する力。基本的な身体の動かし方を制御する力です。
6歳頃までにおおよそ完成される能力なので、幼児や小学校低学年までにこの神経系の能力を高めることが推奨されています。
手や足など体全体で色々なものに触ったり刺激を与えることが大切になります。
バランス系(スキャモン神経型に関する)
スポーツなどある決まった動かし方を制御する力。また、身体以外のボールや道具を制御する力。
12歳頃までにおおよそ完成されます。(ゴールデンエイジなどと呼ばれる時期)
幼少期にしっかり神経系の能力を高めることで、神経系が完成する9歳~12歳のゴールデンエイジを迎えます。
ゴールデンエイジの時期は、競技としての技術の習得が人生の中で一番容易に行える時期です。
このゴールデンエイジの時期の効果を高める、そして時期を延ばすことがコーディネーショントレーニングの目的とも言えます。
フィジカル系(スキャモン一般型に関する)
筋力、瞬発力、持久力など。「フィジカル」という言葉でまとめられる。
20歳前後で完成されます。
背が伸びるというのはもちろん良いことなのですが、背が急激に伸びる時期に運動能力が落ちてしまう子供も実は多いんです。
その理由は、これまでの自分の体と変わってきている体をうまく扱うことが出来なくなるためです。
最終的には自分の体の動かし方に慣れるので問題ないのですが、スランプや伸び悩みと呼ばれる原因は体の動かし方が下手になるこの時期であることが多いです。
この体の動かし方に慣れるまでの時間を減らすことが、コーディネーショントレーニングのもう一つの目的です。
コーディネーショントレーニングの目的は、きたるゴールデンエイジやスランプなどに備えて、体を動かすコツを幼児期などの早い段階でつかむことが目的なのです。
運動神経が良いとは?
先ほど、ご説明した専門競技での技術を習得するため以外にも、単純に運動神経を良くするためにもコーディネーショントレーニングは大変有効です。
学校でも、運動神経が良い奴って居ましたよね。
皆さんは、「運動神経が良い」ってどういうイメージを持たれていますか?
小学校、中学校では、足が速い子や力が強い子でしょうか。
ただ、高校、大学と進むに連れて、足が速いことや力が強くても、肝心のスポーツはイマイチ苦手な人も多かったりしますよね。
逆に専門外の競技でも少しやっただけで、その競技の「コツ」を掴んでしまう人もいますよね。
そういった運動のコツをすぐに掴んでしまう人が「運動神経が良い」と言えるのではないでしょうか。
ここでいう「コツ」を掴む力、つまり運動に必要な要素を「把握する力」、それを理解して自分の身体を「制御する力」を養うためにも、幼児期や低学年からのコーディネーショントレーニングが推奨されています。
遊びの中にコーディネーショントレーニングの要素を取り入れるのが理想的である
2歳や3歳などの普通の幼児の場合、今からコーディネーショントレーニングをやろう!と問いかけても、ポカンとしているか走り去っていくと思います(笑)
そうならないためにも、普段の遊びの中にコーディネーショントレーニングの要素を加えるような、少しの工夫が必要になります。
コーディネーショントレーニングを遊びに取り入れることで、楽しみながら子供の可能性を高めてあげましょう!
具体的にどういった遊びがコーディネーショントレーニングに適しているのか
では、どういった遊びがコーディネーショントレーニングになるのか。
難しい知識も 道具も要らない、親子で簡単に出来るものを中心にご紹介していきたいと思います。
普段の生活では体験しない体の使い方を含む遊び
普段生活している中では体験しないような身体の使い方をする遊びをしましょう!
以下のような遊びが挙げられます。
- 手押し車
- でんぐり返り
- 後ろ歩き
- サイドステップ
ちなみに、うちの長男は後ろ歩きが苦手です。。
からだ全身を使った遊び
身体の色々な部分に刺激を与えられるような遊びをしましょう!
- 木登り
- お父さん登り
- 逆立ち
- タオル引き
ちなみに、うちの長男は木登りも苦手です。。
複数の動作やリズムに合わせた遊び
複数の動作を組み合わせた動きや、リズムに合わせた遊びをしましょう!
- ティッシュキャッチ
- あっち向いてほい
- けんけんぱ
- 足じゃんけん
ちなみに、うちの長男はけんけんぱも苦手です。。
こうやって書き出すと、昔からの遊びがけっこう入っているんですよね。
シンプルですが体をうまく動かせるようになるために効果的な遊びであったため、昔から遊ばれているのかもしれませんね。
コーディネーショントレーニングについて参考にした書籍紹介
コーディネーショントレーニングに関する書籍は昔から出版されています。
いくつか目を通してみたのですが、ほとんどのものは小学校低学年からのものが多いようです。
その中から幼児向け(2歳、3歳向け)で、特に参考になった書籍を2点紹介したいと思います。
こちらの書籍は、室内で遊べる遊びがまとめられています。
また、特別な道具を使わずに親子二人で出来る遊びしか載っていないので、
気軽に取り入れることが出来るのでオススメです!
楽しみながら運動能力がみにつく!幼児のためのコーディネーション運動
こちらの書籍は3歳~年長さん向けの書籍になります。
タイトルにコーディネーション運動とあるように、鍛える能力に応じた遊びが書かれていることが特徴です。
全体的に、年中さんからが適正かなといった内容になっています。
トレーニングにあたって大事なこと!
難しい名前が付いているコーディネーショントレーニングですが、意外と昔遊びが多かったり普段から遊んでいる内容が多いと感じたのではないでしょうか。
「幼児からトレーニングを行わないと、運動神経が悪くなってしまう! 」といったネット情報もよく見かけます。
そんなものは無視して、まずは子供達と楽しく遊ぶことを大切にしてください!
あまり難しく考えずに、公園での遊びのメニューに追加したり、雨の日の室内遊びとして取り入れてみると子供たちも喜ぶと思います。
キーワードはやはり、普段使わないような体の使い方をすることです。
お父さんの足に引っ付いて遊ぶだけでもだいぶ効果はありますし、何より子供が楽しんでくれると思います。
平日は帰ってくるのが遅かったり中々時間が取れないと思います。
土日のどちらかは公園で子供と思いっきり遊ぶのも良いのではないでしょうか?
子供がスクスク成長するように、お互い楽しみながら頑張りましょう!
合わせて、2歳、3歳向けのサッカー練習メニューもまとめています。
コーディネーショントレーニングなどを通して、子供の基礎的な能力を伸ばしつつ、小さい頃からサッカーボールに触れることで「サッカーが上手」⇒「サッカーって楽しい」と子供に感じてもらうことが上達の近道だと思います。
良かったら合わせてお読みください。