一眼レフカメラやミラーレスカメラなど、レンズ交換式カメラをはじめて購入する場合、どういったカメラを選べば良いのかイマイチわかりにくいですよね。
「同じカメラでも本体のみ、本体+レンズ、など色々組み合わせがある!」と、迷ってしまう方も多いと思います。
初めて一眼レフカメラやミラーレスカメラを購入しようとネットで調べてみると、
「カメラをはじめるなら、まずは単焦点レンズを買うべき!」
「ボディとセットで付いてくるキットレンズは性能が悪い!」
というような書き込みもありますよね。
まず結論から言うと、初めてカメラを購入する場合は「本体+レンズ」のレンズキットのセットを購入することを断然おすすめします!
仕事柄、カメラメーカーさんともお付き合いすることが多いのですが、そういった観点からも、なぜキットレンズセットをおすすめするのか?その理由をご説明していきたいと思います。
カメラのレンズキットとは?
一眼レフカメラやミラーレスカメラなどの交換レンズカメラをはじめて購入した場合、ご存知だと思いますがカメラ本体のみでは撮影することが出来ません。
そのため、カメラとレンズを組み合わせて販売することが一般的です。
これらをレンズキットと呼びます。
また、カメラのキットレンズについてくるレンズは、キットレンズと呼ばれています。
一眼レフカメラやミラーレスカメラは、撮りたいシーン(風景、人物、スポーツなど)に応じて、カメラ本体とは別に必要なレンズを買い揃えていきます。
用途に応じて購入するレンズに対して、最初から付いてくるキットレンズはカメラ本体の付属品というイメージも強いため、少し軽く見られがちです。
キットレンズがおすすめされていない2つの理由
カメラのおまけについてくるレンズというイメージが強いキットレンズ。
そんな少し不憫な(?)キットレンズでありますが、おすすめしない理由もちゃんとあります。
ボケにくい(F値が暗い)
キットレンズは本体とセットで売るため、どうしても安くする必要があります。
安くするためには、レンズの中で一番部品代が高いレンズ(ガラス)本体を軽く小さくする必要があります。
そのメリットとして、キットレンズは安くて軽いです。
一方、レンズ(ガラス)が小さいのでレンズ径を稼げないため、デメリットとしてキットレンズはF値の暗いレンズになってしまいます。
一言で説明すると、高いレンズに比べて背景がボケにくいということです。
本格的に人物撮影(ポートレート撮影)をしたい場合などは、やはり別売りの少し高めの単焦点レンズを購入することを強く勧めます。
カメラにハマると、このレベルのレンズは必ず欲しくなります。
ただ、ボケにくいキットレンズでも、カメラの使い方を覚えてくれば下のような写真も撮れるようになります。
ニコン AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G 撮影サンプルから画像引用
レンズ操作部材が少ない
レンズの横にはカメラの設定に関わる部材が付いています。
しかし、キットレンズはこれまた部品代削減のためにレンズ操作部材はほぼ無いため、この点に関してもカメラ好きには受けが悪い理由です。
デジタル全盛のこの時代、カメラ本体で設定を変えられるので、正直重視することでは無いと頭ではわかっています。頭では。。
しかし、カメラにハマっていき、(私の場合)こだわりを持って難しい被写体の一瞬を撮影するためには、いちいちカメラ本体で設定をいじっている暇は無いのです!
まあ、正直、高くて良いレンズを買うための自分への言い訳という部分もあります(笑)
それでもレンズキットをおすすめする3つの理由
上記のようなキットレンズの欠点を書いている私です。
皆さんも薄々気付いていると思われますが、現在の私はキットレンズを既に手放しています。
そんな私でも、最初に買った一眼レフカメラはレンズとセットになっているレンズキットでした。
そして、キットレンズを手放した今でも、レンズキットを購入して本当に良かったなと思っています!
なぜ、レンズキットをここまでおすすめするのか、その具体的な理由を3つご紹介します。
最近のキットレンズは性能が良い
まず、一番伝えたいのがこの点です!
昔のキットレンズは正直、ピント合わせも遅かったり写りもイマイチなレンズが多かったです。
しかし、現在発売されているキットレンズは、十分性能の良いレンズになっています。
なぜキットレンズは価格以上に性能が良いのか。その理由は開発スパンにあります。
キットレンズはカメラとセットで発売されるため、3~4年ほどで新しいモデルのキットレンズが開発されています。
開発スパンが短いため、新しいキットレンズはその時の最新の技術と最新の部品で設計されています。
そのため、価格以上に性能の良い、コスパの良いレンズになっているのです。
キットレンズは価格が極端に安い
カメラのレンズって、正直高いですよね。。
でも、結局そういうレンズでしか撮れない写真があるから、私を含めて俗に言うプロ向けレンズを購入されているのだと思います。
そんなレンズと比較すると、キットレンズって極端に安すぎるだろと感じていました。
仕事でカメラメーカーの方々とお話しする機会が割と多いので、キットレンズがなぜ安いのか正直に聞いたことがあります(笑)
キットレンズの脅威のコスパの理由は、キットレンズの出荷数にあるとのことです。
キットレンズは色々なボディとセットで販売されます。
そのため、単体で売られているレンズと比較するとキットレンズの販売数は圧倒的に多いです。
生産数が多いため、部品を大量発注出来るので原価を安く抑えることが出来る。
レンズ設計費も抑えられるため、性能に対して価格が安い、コスパの良いレンズをキットレンズとして販売することが出来るとのことでした。
その他にも色々な企業努力があって、あの価格でキットレンズが売られているのだと思います。
レンズは下取り価格が高い
3つ目の理由はいやらしい話ですが(笑)、結構重要なポイントです。
先ほども少しご説明したとおり、レンズのモデルチェンジのスパンは10年程です。
そして、レンズはカメラを買い替えても同じカメラシステムであれば、使い続けることが出来ます。
そのため、レンズは値崩れしにくく中古市場で高く売ることが出来ます。
レンズは資産になると言われるのもこの点にあります。
キットレンズもこの例に漏れず、予想以上の値段で売ることが出来ます。
ですので、まずはキットレンズで一眼レフカメラやミラーレスカメラの使い方や楽しみ方を学び、どういったレンズが欲しいか具体的になってからキットレンズを手放すかを決めることも出来ます。
目的に応じたレンズキットの選び方
これもあるあるだと思います。
そう、レンズキットは用途に応じて複数のキットレンズとの組み合わせが用意されていることが多いです。
では、どれを選ぶのがベストなのか?用途に応じてちゃんと決めると長く使えますよ。
子供の成長など家族の思い出を残したい
私は仕事ではスポーツ撮影が多いですが、プライベートでは子供ばかり撮っています。
子供との旅行は荷物が多いので、カメラやレンズは少しでも軽く小さいものが良いですよね。
また、子供の動きはかなりランダムなので、少しズーム出来るレンズだと撮影がぐっと楽になります。
そういった点からも、標準ズームレンズと呼ばれるキットレンズがセットになっているレンズキットがおすすめです。
子供が小さいとオムツなどで本当に荷物が嵩張りますよね。。
少しでも荷物を減らしたい場合は、思い切ってコンパクトカメラという選択肢もありです。
運動会やスポーツを上手に撮影したい
運動会などのスポーツシーンは、スマホではうまく撮れないですよね。
望遠ズームレンズを使えば遠くからでも人物を大きく映せるので、ダイナミックな写真を撮ることが出来ます。
運動会やスポーツを撮影する場合は、望遠ズームレンズと標準ズームレンズがセットになったダブルズームのレンズキットがおすすめです。
スポーツ撮影は、使うレンズも大切ですが、正しいカメラ設定を行う事が重要です。
失敗しないカメラ設定などをまとめた記事もあるので、良かったらご覧ください。
https://frontista84.com/single-reflex-camera-sport/
カメラに慣れてくるともっとレンズが欲しくなる
レンズキットでカメラをスタートし、順調にカメラにハマっていくとやはりレンズが欲しくなっていきます。
そして手始めに単焦点レンズなるものが欲しくなります(笑)
ここでは脱ビギナー?に最適な、手を出しやすい価格帯の単焦点レンズと明るいズームレンズをご紹介していきたいと思います。
単焦点レンズはズームが出来ないので、写真の構図を考えながら撮影する必要があります。
そのため、単焦点レンズを使う事は写真の上達への近道にもなります。
より人物を印象的に撮影したい 単焦点レンズ
やはり背景ボケの美しい写真は何気ない普段のシーンでも印象的な写真になります。
背景ボケを演出するには、F値と焦点距離を意識してレンズを選んでください。
どんなシーンでも撮れる単焦点レンズ
ニコン AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G 撮影サンプルから画像引用
F値の明るいレンズでボケやすく、かつ、使いやすい焦点距離のレンズです。
人物の表情を撮る単焦点レンズ
ニコン AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G 撮影サンプルから画像引用
F値が明るく、人物にかなり寄れるような焦点距離の少し長めの単焦点レンズです。
人物を縦撮りで撮影する場合などにあると嬉しいレンズです。
フルサイズにステップアップした際も引き続き使えるレンズをピックアップしました。
体育館などでも綺麗に撮れる 明るい望遠ズーム
シグマ(是永 悟カメラマン) SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM 撮影サンプルから画像引用
キットレンズの望遠ズームは軽くて良いのですが、F値が暗いため体育館でのスポーツ撮影や音楽会などを撮影する場合は少し力不足なところがあります。
レンズは少し大きくなってしまうのですが、ここぞというときのために明るい望遠ズームもあると撮影の幅がぐっと広がります。
まとめ
はじめて一眼レフカメラやミラーレスカメラをはじめる方へのアドバイスとしては、どのレンズを使うかではなく、写真を撮ることに慣れることが大切だと思います。
カメラを初めてみて、自分がどういった写真を撮りたいのか、具体的にイメージ出来る人ってそう多くは無いと思います。
そういった場合もなんでも撮れるレンズキットを選ぶことで、色々なシーンを撮ることが出来ます。
写真がうまくなるにはレンズキットは一見遠回りのようですが、色々なシーンで写真を撮ってみてレンズに対する不満だったり要望を体感してから、レンズを購入するほうが結果的に写真上達の近道になると思います。
始めやすいキットレンズセットを購入して、写真を撮る楽しさを感じて頂ければと思います。