我が家の長男は典型的な晩熟タイプで、体も小さく足も速くないです。
それでも、いつの日かグッドプレイヤーになるために親子でサッカーを楽しんでいます。
子供がサッカーをはじめる前からサッカー観戦が大好物な私。
Jリーグや海外サッカーでは飽き足らず、大学サッカーや高校サッカーも割とよく観ます。
同じようにサッカー観戦が趣味な方であれば、少し見ただけで「この選手は大成するな」と感じる選手に出会うことがあると思います。
将来的に伸びる選手、これから化ける選手ってどういった選手なのでしょうか?
私なりに考えてみました。子供達がより良い選手に近づくためのヒントになればと思います。
よりサッカーを楽しむために現状をしっかり把握する
将来的に伸びる選手・化ける選手の条件を考える目的は何か。
現時点での子供達を良い選手と悪い選手に分けることが目的ではありません。
より良い選手になるために、今の子供達に足りない部分や将来に向けて備えておきたい技術を明確にすることが目的です。
将来的に伸びるためには、まず現代サッカーで何が求められるのかを理解するところからスタートしていきましょう。
現代サッカーの移り変わりについて
現代サッカーではどういった選手が良い選手と判断されるのか。
それを考える上で、まずはこれまでの時代ごとのサッカーの特徴を振り返っていきたいと思います。
90年代までは個vs個
イタリアサッカー全盛期の90年代。私がサッカーを観始めたのもこの辺りからでした。
「トップ下」「司令塔」「ファンタジスタ」
圧倒的な個を持つ選手、テクニックのある選手がチームの中心でした。
多少アスリート能力や守備をサボるような選手でも、ボールを持った時(オンザボール)に何が出来るかが最重要視されていた時代でした。
2000年代からチーム戦術が浸透
銀河系軍団となったレアルマドリードや、チェルシーの台頭など、欧州サッカーバブルがはじまったのもこの時期でした。
この頃から守備戦術がどのクラブにも浸透していきました。
コンパクトな布陣によるゴール前の守備強度が各段に向上しました。
その結果、FWや2列目の選手がボールを持てる時間が大きく短くなり、フリーで持てる位置も相手ゴール前からどんどん遠くなっていきました。
3-5-2などのトップ下のポジションは無くなり、4-4-2や4-3-3のサイドに強力な選手を配置するチームが多くなりました。
2000年代ではチーム戦術の浸透により、ポジショニングや守備も出来る選手が試合に出るという流れが出来上がった時代だと感じます。
チームとして守備でも攻撃でも、ボールを持たない時(オフザボール)の動きが重視されていました。
そして、オフザボールの動きを理解しながら違いを作れる選手、相手のシステムを破壊出来る選手がエースとして君臨していた時代でした。
共通認識を持つチームの中で何人か異質な選手を混ぜてチームを構築するクラブが良い成績を残していました。
2010年代はアスリート能力
2010年代からイングランドプレミアリーグがいよいよ力を付けてきました。
その中心にあったのが、アフリカにルーツのあるイングランド人やフランス人でした。
彼らの圧倒的なアスリート能力により、サッカーはよりコンパクトでスピーディーな競技へと進化していきました。
アスリート能力のある選手が規律通りにチームのために汗をかくことが当たり前になり、よりボールを持てるスペースが無くなりました。
その結果、ボランチやサイドバックはもちろんセンターバックまで足元とパス技術が要求され、攻撃の組み立てを担う必要性が増えました。
前目の選手には足が速く攻守にアグレッシブであることを求められ、後ろの選手は1対1の強さに加えてビルドアップ能力が必要とされました。
2020年代はパターン戦術?
きたる2020年代はパターン戦術がトレンドになってくると予想されます。
サッカーはアメフトやバスケに比べて戦術面が遅れていると言われています。
それは、サッカーは足でボールを扱うためミスが多いスポーツであるためです。
ただ、現代サッカーでは足で扱ってもボールハンドリング技術がもう水準以上になっており、ミスが少なく選手のほぼ意識した通りにボールを動かすことが可能になりました。
そのため、アメフトやバスケのようにシチュエーションに応じてあらかじめ決めていたパターンで相手を崩す機会が増えていくのがトレンドになります。
その最たる例がプレミアリーグのマンチェスター・シティですね。
フィールドプレイヤー全員が完璧にボールを扱えることで、チェスのようなサッカーを実現してしまっています。
技術があることが当たり前でそれを使って瞬時にチームとしての動きが出来るかが今後のサッカーで求められる能力なのかなと思います。
良い選手の条件
長々と書いてしまいましたが、これまでのサッカーの移り変わりを参考に、現代サッカーに求められる能力を書き出すと以下のような感じですかね。
- ボールを持った時のアイデア
- ボールテクニック
- 強度の強いプレー
- 攻守の切り替えの速さ
- オフザボールの動き
- アスリート能力
- 勤勉性
- 戦術理解度
- 状況判断力・予測力
書き出すときりがないので、ざっくり代表的なキーワードを挙げてみました。
サッカーをそこそこ知っている方であれば、よく目にする言葉が多いのではないでしょうか。
この中で、ジュニアサッカー時代に活躍するための能力を選ぶとしたら「アスリート能力」でしょう。
特に低学年では足が速い、体が大きい、シュート力がある子であれば間違いなく活躍出来ます。
ジュニアサッカー世代での良い選手の条件は、「アスリート能力」とドリブルなどが出来る「ボールテクニック」の二つで決まると言っても過言ではありません。
しかし、そういった能力だけではJ下部のスカウトなどには引っかからないのも事実なのかなと感じます。
自チームや近隣のチームで有名であったりJ下部に内定している選手を見ると、特に以下の能力が優れていることが一目でわかります。
- ボールを持った時のアイデア
- ボールテクニック
- オフザボールの動き
- 戦術理解度
- 状況判断力・予測力
試合中もボールが自然と集まり、受けてから次のプレーが滑らかで素早く、それでいて正確です。
もちろん足が速かったり球際も強いのでしょうが、上記5つの特徴がより顕著に表れていると感じます。
ジュニアユース以降の良い選手の条件は、少なくとも上記5つの能力が高い選手といえるのではないでしょうか。
小学校低学年の今だから取り組みたいこと
ジュニア世代、特に小学校低学年では成長期の違いにより選手としての完成度が大きく異なります。
それはひょっとしたらジュニアユース世代やユース世代の前半までついてまわる課題かもしれません。
成長期や持って生まれた身体的な特徴については努力しても中々変えられることではありません。
子供自身が得意な部分を伸ばすことが出来る、苦手な部分を克服出来るような取り組みが大切です。
陸上やバスケ、アメフトなどのスポーツの場合、フィジカル要素が占める割合がとても大きいです。
それらと比べると、幸いなことにサッカーは技術的な要素のウェイトが大きいスポーツになります。
技術や判断など体が出来上がる前でも取り組める部分も多くあります。
フィジカルに頼らない要素を鍛える練習メニューを幼少期から重点的に取り組むべきです。
そういったサッカーのベースを作った上で、成長と共にフィジカル要素がそこに加わることで、いわゆる「化ける」ことが出来るのではないでしょうか。
習得するタイミングを無理やり番号を付けるなら以下の順になります。
①ボールテクニック
何よりもまず身に着けるべきはボールテクニックです。
これはどこでも言われていますが、まず間違いなく最重要な技術です。
ボールがどうやって弾むかといった特性など、ボールに慣れること。
そしてボールを思い通りに動かすことを習得しましょう。
練習メニューとしては、ドリブルなども大切ですがまずはボールタッチやトラップなどコントロールの部分から入ったほうが良いと思います。
②状況判断力・予測力
YOUTUBEなどではドリブルの練習ばかり取り上げられているようなイメージを受けます。
選択肢としては大切ですが、あくまで選択肢の一つです。
ドリブルが上手くなることがゴールになってはいけません。
顔が上がっていないドリブルでサイドを駆け上がっても、ちょっと厳しいかなと感じます。
ドリブルで何人も抜いてゴールを目指すよりも、周りを使ってシンプルにゴールを目指すべきです。
サイドのドリブルで詰まったらやり直す、ワンツーで抜け出す、など選択肢が多く相手に止められない選手。
そういった選択肢、つまり判断する力がある選手には自然とボールが集まってくるものです。
プレー中になぜその選択肢を選んだか、そしてどういった結果になったか?
他の選択肢をどれだけ頭の中で描けていたか?
そのプレーを客観的に振り返ってアイデアを膨らませることが大事です。
試合だけでなく練習中のミニゲームなどもビデオで撮影しておくと、後から見返すことが出来ます。
判断力の向上やアイデアを増やす手助けになるのでおすすめです。
③オフザボールの動き/戦術理解度
予測する力に近い部分ではありますが、サッカーのセオリーを知ることも学年が上がるにつれて必要になってきます。
このあたりは習得するのが中々難しい部分であり、教えるというよりは経験することが大事なのかなと思います。
戦術理解度の簡単な例でいうと、味方がサイドを突破したらゴール前にポジションを取る、こぼれ球に備えるなどです。
また、右の味方からパスが来たら左の味方やスペースを意識してプレーするなどです。
難しいプレーを選択せずにシンプルで当たり前のプレーを正確に行うことが重要です。
シンプルなプレーであればミスをする確率も低いので、ゴール付近までゴールを持っていける可能性を高めることが出来ます。
オフザボールの動きはミニゲームなど、ボールにたくさん絡む練習で地道に鍛えていく必要があります。
自分がボールを受ける、相手ボールでどこにポジションを取るべきか絶えず考えることが重要です。
サッカーのセオリーを知る、戦術理解度を深めるには、たくさんサッカーに触れることが一番でしょう。
ハイライトだけでも良いからサッカーの試合を見ると良いかもしれません。
番外編.ボールを持った時のアイデア
最後に番外編として、ボールを持った時のアイデアの身に着け方ですが、正直わかりません!(笑)
規律の取れたチームを個の力で破壊する、そんな規格外の選手はどこからか自然と湧いて出てくるものだと思っています。
以前のブラジルでは規格外の選手が世代ごとに現れていました。
それはストリートサッカーや貧困からの脱出のためのハングリー精神によるものだと言われています。
アイデアのある選手になるためには、サッカーに限らず普段から自分で考えて工夫することでしょうか。
サッカーだけに固執せず色々な体験を実際に自分でしてみて、脳を柔らかくすることが大切なのかなと思います。
そして、サッカーが楽しくてしょうがないといったサッカー大好き小僧であることが最も重要なポイントだと思います。
小難しいことをつらつら書いてしまいましたが、結局は子供がサッカーを楽しんでくれれば必ず伸びると思います。
サッカーを楽しめる環境を親が用意してあげることが、親が子供にしてあげられる唯一のサポートなのかもしれません。