サッカーをはじめて間もない小学校低学年の年代では、試合中にボールを前に蹴飛ばしてしまう子供を多く見ます。
外から見ている大人からすると、なんで蹴ってしまうのかと不満に思うこともあると思います。
コーチなどからは「まわりを見てプレーしろ」と指示されますが、そんな簡単には上手にプレーすることは出来ません。
小学校1年,2年,3年などサッカーを始めて間もない頃から、ある部分に意識してトラップ練習を行うことでこの課題は確実にクリアすることが出来ます。
本記事では、まわりを見てサッカーができるようになるための、親子で取り組めるトラップ練習についてご紹介していきたいと思います。
試合中にボールを蹴ってしまうのは、いくつか理由がある
- 相手が近くにいるから蹴る
- 守備してボールを取ったから蹴る
- (以前に)蹴れって言われたから蹴る
これらいくつかある理由も、その原因は結局一つです。
それは、試合中に周りが見えていないからです。
周りを見て状況判断がしっかり出来ていれば、その時に最適なプレーを選択することも可能です。
周りを見ろって言われても出来るはずない
しかし、周りを見ろと抽象的な指示を試合中に言われても、出来るわけがありません。
周りを見てプレーするというのも、立派なスキルです。
普段の練習から意識することで、顔をあげて周りを見ながらプレーする習慣をつけることが出来ます。
顔をあげてプレーするためには、以下のポイントが重要です。
- トラップなどボールコントロールがしっかりしていること
- 適切なタイミングで顔をあげること
- 顔をあげてどこを見るかを理解していること
顔をあげるタイミングと見る場所を習得する
低学年の子供とトラップ練習をする際に、顔をあげてトラップして周りを見てみようとアドバイスするとします。
すると、トラップする瞬間も含めてずーっと顔をあげてトラップするのでボールがどこかに行ってしまう動きになりやすいです。。
まずは、トラップの際に顔をあげる正しいタイミングを教えてあげましょう。
顔をあげるタイミングは、大きく二つに絞って教えてください。
- 自分がボールを蹴ってから相手がボールを蹴るまで
- 自分がトラップをした直後
自分がボールを蹴ってから相手がボールを蹴るまでの間は、当然自分はボールを持っていません。
ですので、顔を上げても自由に動けますし、ボール扱いをミスすることもありません。
まずは、このタイミングで相手も含めてまわりをしっかり確認するところから始めましょう。
次に顔をあげるタイミングが、「自分がトラップした直後」です。
トラップしてから、ドリブルしてボールを運ぶ際も味方へパスをする際も、このタイミングで顔を上げてまわりを見ないと確実なプレーが出来ません。
この顔をあげるタイミングが子供達には難しいです。
トラップしてからボールを蹴るまでこっちを見ていたり、ほんとに一瞬だけ顔をあげた素振りを見せたり、練習をはじめた頃は色々面白い動きを見せてくれると思います。
ちなみに、①のタイミングでトラップした後のプレーをトラップする前にあらかじめ決められる子供もいるかもしれません。
その場合は、②で顔を上げずにすぐにプレーに移ることが正解の場合もあります。
トラップ前に先を予測する能力を既に備えているということなので、そういったプレーを選択した場合は褒めてあげましょう。
上記の顔をあげるタイミングを習得するための具体的な練習メニューを紹介していきたいと思います。
トラップ練習メニュー:対面パスで基礎を習得する
顔をあげるタイミングを掴むための練習として、まず取り組みたいのは対面でのパス練習です。
何も意識せずに対面でパス交換をするだけだと、確かに効果の薄い練習メニューかもしれません。
ただ、顔をあげるというポイントを絞って練習に一工夫加えると意味のあるトレーニングになります。
トラップ直後に後だしジャンケン
- 親がパスを出した直後にジャンケンで何かを出す
- 子供はトラップしてからジャンケンに勝つために後出しで勝てる手を上げる
- その後に普通にパスをして親にボールを返す
シンプルですが、トラップ後に相手を見てリアクションする練習になります。
「顔をあげる」というのが目的ではなく、「まわりを見る」ことが目的であることが伝えやすいのでオススメの練習方法です。
慣れてきたら、負けるための手を出すなどルールを変えると面白いです。
トラップ直後にコーディネーショントレーニング
基本はトラップ直後の後出しジャンケンと同じ動きになります。
- 親がパスを出した直後に指で方向指定
- 子供はトラップしてからその方向に合わせた動きを行う
- その後に普通にパスをして親にボールを返す
方向指定に合わせた動きは、上だったらジャンプ、下だったらしゃがむなどです。
下記の動画のような動きをイメージしてください。
トラップ練習と合わせて、コーディネーショントレーニングに取り組むのが狙いです。
普段の生活では行わない動きを取り入れると、より効果的です。
トラップ練習メニュー:左右に動きながらパス交換
対面パスで顔を上げることに慣れてきたら、次は左右に動きながらのパス交換にも挑戦しましょう。
- 子供がトラップする直前に親は左右に動き出す
- 子供はトラップ後に親の位置を確認してパスを出す
- 親がトラップする直前に子供は左右に動き出す
左右に動きながらパスをすることで以下のような能力を鍛えることが出来ます。
- トラップ後に顔をあげる
- 動いている相手の場所を予想してパスを出す
- 動きながらトラップする
対面パスが意味が無いと言われるのは、サッカーの試合では止まりながらトラップして止まった相手にパスをするケースがほぼ無いためです。
対面パスで周りを見る技術の基礎を習得したら、動きながらのプレーにも取り組んでいきましょう。
体の向きを意識できればより良い選手になれる
首を振って周りを確認出来る選手は良い選手だと思います。
そこからさらにレベルアップするためには、体の向きを意識することが重要です。
次の自分のプレーを予測して、その方向にあらかじめ体の向きを変えて置くことで、以下の二つのメリットがあります。
- 自分のプレーするエリアに対して、視野を確保できる
- 次のプレーエリアに体が向いているので、最初の一歩目などの動きだしがスムーズになる
特に、あらかじめ視野を確保することが出来るので首を振らなくてもより状況判断が出来るというのは大きいです。
こういった、体の向きだったりボールの置き場所をコントロールする技術を、コントロールオリエンタードと言います。
例えば、ゴール前でパスを受ける際にゴールに背を向けてしまうと次のプレーの難易度が非常に上がってしまいます。
それは、次の自分プレー方向と体の向きが一致していないためです。
パスを受ける際にボールに向きたい気持ちを我慢して、パスを出す味方とゴールをどちらも視野に入れられるような体の向きを取りましょう。
こうすることで、シュートまでのプレー難易度を下げることが出来、点を取れる確率を高めることが出来ます。
顔をあげることに慣れてきたら、体の向きを意識したプレー(コントロールオリエンタード)にも少しずつ取り組んでみましょう。